日本に住んでいるフリーランスの記者がkindleで出版した場合に
その印税(ロイヤリティ)には、アメリカの源泉所得税30%が、控除されています。
日本に住んでいる日本人なのに、
「どうしてアメリカに税金を支払う必要があるの?」
「アメリカの行政サービスを受けていないのに、税金を負担する必要があるの?」
と思いますよね。
実は、アメリカの税務署(IRS)に一定の手続きをすると、
日米租税条約に基づき、税金が免除(アメリカ源泉所得税が0%)となる手続きがあります。
是非、次の記事をお読みいただき、
不必要な税金の支払いを節約しましょう!
Contents
まず、①アメリカの源泉所得税と②日本の確定申告所得税についての
考え方を確認しましょう。
「税金の考え方はどうでもいいよ。」という方は、
2の提出方法へ進んでください。
KDPで電子書籍を出版し、売上が上がった場合には、
その売上にかかるロイヤリティを、アマゾンから受け取ることになります。
よって、アマゾンの本社があるアメリカの法律に基づき、
源泉所得税30%がひかれることになります。
アメリカの税務署からしたら、
アマゾンがロイヤリティを費用計上するわけ(税金が少なくなる。)ですから、
ロイヤリティをもらった人は、アメリカに税金を払えということですね。
日本に住んでいる方の場合、
①日本所得と②アメリカ所得を合計して総所得(全世界所得)を計算します。
それをもとに計算した税金を、
税務署(日本)に申告と納税をします。
(日本居住者の全世界所得課税といいます。)
よって、アメリカ所得(ロイヤリティ収入)に対して、
次の税率が課されていることになります。
つまり、日本とアメリカで、2重課税が発生します!
日本とアメリカの2重課税を防ぐためには、次の方法があります。
※今回は、2の外国税額控除は、使えません。
(詳しくは、下記に記載しています。)
日米租税条約とは、次のことを目的にした日本とアメリカの約束・契約です。
今回のロイヤリティに関しては、
一定の届け出(個人用「Form W-7」) を、
アメリカの税務署(IRS)に出すことにより、免税にすると決まっています。
■具体例(アメリカ所得50万円とすると、)
租税条約の届け出を提出した場合:アメリカの源泉所得税 0円
租税条約の届け出を提出しない場合:アメリカの源泉所得税 15万円
よって、アメリカの税務署(IRS)に届け出(Form W-7)を出し、
アメリカの源泉所得税を免税としましょう!
日本に住んでいる人が、
その年に、外国の税金を納付した場合には、次の計算した金額までを、
所得税額から差し引くことができます。
■計算式
控除限度額=その年の所得税額×(その年の国外所得金額/その年の所得総額)
国税庁HP参照
■具体例(所得:日本700万円、アメリカ50万円、所得税:日本110万円、アメリカ15万円)
計算式によると、アマゾンに源泉徴収されたアメリカの源泉所得税のうち、約7万円のみ日本の所得税から控除することができることになりそうです。
しかし、次の日本の所得税法を見てみますと、
租税条約を超える部分の金額は、
外国税額控除の対象としないというものが入っています!
居住者に係る外国税額控除の対象とならない外国所得税額
日本が租税条約を締結している相手国等において課される外国所得税額のうち、その租税条約の規定により、その相手国等において課することができることとされる額を超える部分に相当する金額又は免除することとされる額に相当する金額
国税庁HP参照
日米租税条約では、2国間の経済発展の観点から、
一定の手続きをした場合には、
ロイヤリティにかかる源泉所得税は免除するとあります。
よって、外国税額控除の対象は0円となります。
つまり、外国税額控除で2重課税の調整はできない、
ということになります。
(ちなみに、租税条約は国内法よりも優先されて、適用されます。)
日本の確定申告で、強引に外国税額控除をしたら、
税務調査で、だめですと怒られるリスクがありますよ。
是非、租税条約の届け出(Form W-7)の手続きをして、
免税にしましょう。
次は、どうすれば免税になるのか
確認しましょう。
まず、KDPのサイトへ移動し、アマゾンのアカウントでログインします。
次に、アカウント情報の「今すぐ更新する。」を選択し、入力
(①著者/出版社情報、②支払いの受け取り方法、③※税に関する情報 )
※税に関する情報
「私は米国以外のTIN(納税者番号(Taxpayer Identification Number = TIN))を持っています」
の質問について、マイナンバーは使用できません。
理由は、マイナンバーは日本の法律にのみ基づき使用されること
が前提とされているようで、アメリカの税金の申告では、
現状使用できないからとのことです。
税に関する情報 (KDPのHP参照)の動画で、マイナンバーは使用できないため、個人の方はITINを取得するように案内されています。ご注意ください
→動画を見たい方は、KDPのHPへ
ITIN(Individual Taxpayer’s Identification Number)
の取得に必要な資料は、次をご参考ください。
「どうして租税条約の免税届け出を出すのか」、
という理由を、アメリカの税務署に、説明するものです。
アマゾンがこのレターを無料で作成してくれますので、
是非、問い合わせをして、郵送してもらいましょう。
次のKDPのHPの「問い合わせ」に、
ITINレターが欲しい旨、住所、名前を記入し、依頼できます。
ITIN レターを要求するには、こちらにお問い合わせください。
アマゾン KDP HP参照
パスポートのコピーは、普通のコピーではダメです。
次の大使館等で、認証コピーの手続きをすることができます。
アメリカは、テロ・スパイが日本より多いので、
資料のコピーに厳しいですね。
在日米国大使館で手続き可能ですので、ご確認ください。
予約をして、訪問し、コピーをしてもらうという流れです。
英語ですが、翻訳等を使って、頑張って記入しましょう。
参考までに、簡単な流れは、次のようになります。
完成イメージは次のようになります。
「FORM W-7」はIRSから入手可能です。→こちら
最後に、ITINの番号をIRSから、取得しましたら、
KDPのTIN入力欄に入力をして、完了です。
入力後に源泉所得税の税率が0%(免税)
になっているはずです。
お疲れ様でした。
手続き完了です。
おめでとうございます!
今回は、KDPで出版した場合の、
アメリカの源泉所得税を0%にする手続きをご紹介しました。
最後にまとめをしましょう。
源泉所得税について、
租税条約の届け出(W-7)の提出の流れは、
実際の手続きには、事務コストと資料の郵送待ち時間(2ヶ月以上)が、かかります。
英語が苦手な方で、売上が少額な場合は、
コストベネフィットを考えて、
外国源泉税を広告宣伝費として、
あきらめるのも、一つの方法かもしれません。
ただし、将来、電子書籍に力を入れていきたいのであれば、
是非今回のブログをご参考いただき、頑張って
手続きをするのはいかがでしょうか?
また、時間がない方は、USCPA、米国税理士や国際的な司法書士等の先生に手続きを依頼してもいいかもしれません。
是非、租税条約の免税手続きをして、外国源泉所得税を免税にしましょう。
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